日本司法通訳士連合会は、本日、創立10周年を迎えました。
ちょうど10年前、平成21年(2009年)5月21日、裁判員制度が施行された記念すべき日に、当連合会もこの世に生まれました。そして、令和元年を迎えた記念すべき月に10歳の誕生日を迎えました。
当連合会は、これまで9回の司法通訳技能検定試験を実施し、今年で10回目となります。司法通訳養成講座の受講生は今年で9期生です。そのほかにも模擬接見や自作のDVDを使った研修会、法廷傍聴会、シンポジウムなどの各種のイベントも開催し、好評を博してきました。
これらを実施することができたのも、多くの弁護士、通訳人、外国語を母国語とする方々をはじめとする多くの方々のご理解とご支援、ご協力があったからでした。そしてまた、当連合会の目的と活動に賛同し、会員となり、各種のイベントに参加してくださった方々、検定試験を受験してくださった方々、養成講座を受講してくださった方々の支えがあったからです。
皆様には、この場を借りまして心より御礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
わたくしが当連合会を立ち上げたのは、資格制度もなく、技能レベルついての審査制度もなく、事件の配転についての基準も不透明で、研修会もいいかげんな当時の法廷通訳の実情に大きな危惧感を抱いたことがそのきっかけでした。
そこで、司法通訳の技能と地位の向上を目的とし、最終的には諸外国にあるような司法通訳の資格制度がこの国に整備されることを目指して、当連合会を立ち上げたのでした。
それから10年の歳月を経て、では、事態はどう変化したでしょうか。残念ながら、目に見えた改善はなされていないと言わざるを得ません。
この10年間で、当連合会の技能検定試験に1級に合格された方は12名、2級に合格者された方は43名おられますが、この方々については、どこから聞こえてくるのもよい評判ばかりです。
その一方で、法廷通訳、司法通訳の現状はどうかと言えば、10年前とまったくと言ってよいほど変わっていないのです。
そこで、当連合会は、今年10周年を迎えたことを節目とし、新たな一歩を踏み出すこととしました。当連合会がその名称に用いている「司法通訳士」という資格を、今年、誕生させることといたしました。
詳細については、後日お知らせいたしますが、まずは、その決断をしたことを、この記念すべき日に、皆様にご報告させていただきます。
また、今後とも当連合会に対し、ご支援、ご協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。
令和元年(2019年)5月21日
一般社団法人 日本司法通訳士連合会
代表理事 天 海 浪 漫