●当会の名称
わたくしたちの団体は「一般社団法人 日本司法通訳士連合会」と称しています。
英語表記は「Japan Law Interpreter Association」であり、略称は「JLIA」です。
●当会の目的
当会は、司法通訳人の技能と地位の向上を目的として、平成21年5月21日に任意団体として活動を開始しました(記念すべき日として、裁判員制度の施行日を選びました)。
そして、平成22年5月21日に一般社団法人として正式に設立しました。
●司法通訳を取り巻く現状
「司法通訳人」とは、刑事裁判における法廷通訳に限らず、捜査における通訳、弁護活動における通訳、また、民事裁判、民事調停などにおける通訳など、広く司法に関わる通訳を行う通訳人の総称です。
日本の刑事事件第一審(地裁・簡裁)の通訳事件は、2000年に総数6,437件(全体の8.08%)であったものが、2003年には総数11,326件(全体の12.05%)となり、急激に増加しました。
この時期、司法通訳人の需要が急速に高まり、これに呼応して、司法通訳に携わる人々の数も急増し、その重要性も、社会に広く認識されるようになりました。
しかし、同時に、2つの問題が指摘されるようにもなりました。
●司法通訳をめぐる問題
第1は「通訳人の質」つまり、技能レベルの問題です。
裁判所、検察庁、弁護士会などは、司法通訳人の質を十分に見極めているのか、という問題です。
それは、司法通訳は、被疑者、被告人をはじめとする事件関係者の人権の保障にも深く関わる重要な役割を果たすものであるかかわらず、現状において、司法通訳人につき、十分な質の確保ができていないのではないか。このような指摘が、各方面からなされるようになりました。
第2は「通訳人の地位」つまり、待遇の問題です。
司法通訳は、国家・社会にとって重要な役割を果たすものでありながら、実際には、多くの司法通訳人が、司法通訳としての収入だけでは安定した生活を送ることができない、というのが現実です。
そして、この第1の問題と第2の問題とは、決して無関係ではありません。
当会は、司法通訳人は、国家・社会において果たすその役割の重要さに相応しい待遇を受けるべきだ、と考えます。つまり、地位の向上です。
しかし、そのような待遇を主張するためには、通訳人の側でも、それに見合うだけの技能レベルを確保する必要がある、と考えます。つまり、質の向上です。
質の向上があって、はじめて地位の向上が受け入れられる、と考えます。
そして、この相互作用は、司法通訳人にとっても、また、司法関係者にとっても、よい結果をもたらすはずです。
当会は、司法通訳人を取り巻く環境が、このように変わってゆくことを目指しています。
●当会が目指す未来の司法通訳の姿
当会は、営利を目的とするものではありません。
将来において「司法通訳士」が国家資格として誕生することこそが、当会の悲願です。そして、いつの日か、法的な整備がなされ、真の意味での「日本司法通訳士連合会」が設立され、その機関によって司法通訳人の技能と地位の向上を目的とする活動が行われるようになるならば、当会は、その使命を終え、幕を閉じることになるでしょう。
そんな日が来ることを、願ってやみません。そして、その日が来るまで、当会は、勢力的に活動を続ける決意です。