当会の目的を達成するため、当会では、次のような活動を行っています。
当会の活動は、次の3つに分類されます。
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司法通訳人の技能の向上をめざす活動
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質の高い司法通訳人の技能を社会に役立てるための活動
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司法通訳人の地位の向上をめざす活動
1)司法通訳養成講座の開催
当会では、これから司法通訳を始めたいという人などを対象として「司法通訳養成講座(全20回)を開講しています。
講座は、主として、接見通訳、法廷通訳を念頭に置き、司法通訳人に必要とされる犯罪や刑事手続に関する法的知識、刑事実務上の常識などを学ぶことを目的としています(全16回)。また、2014年度からは、より幅広い事件にも対応できるよう、民事系の講座(一般民事、家事、会社、労働の全4回)が加わりました。
極めて実践的な内容であるため、講師はすべて現役の弁護士が担当します。
また、遠方などのために教室に来ることができない希望者のためにDVDによる通信講座も開講しています。
2)司法通訳技能検定の実施
当会は、司法通訳人の技能レベルに対する客観的で信頼に足りる指標を提供するという目的で、年1回「司法通訳技能検定」を実施しています。レベルは、1級~4級の4段階に分かれ、合格者には技能レベルに応じた認定証を発行しています。試験問題は、協力弁護士による制作・監修の下、法的知識と語学力の双方を問う内容となっています。方式は、筆記試験だけでなく、リスニングや、口頭による通訳が含まれています。
3)司法通訳人の紹介
当会では、裁判所、弁護士などからの希望に応じて、司法通訳人の紹介を行っています。紹介の対象となる通訳人は、原則として、当会の司法通訳技能検定に合格し、一定の技能レベルが確保された通訳人に限られます。
4)司法翻訳および翻訳文への認証
当会では、文書の翻訳をいたします。当会が依頼を受けた場合は、一定の技術レベルが確保された司法通訳人により翻訳をいたします。
また、外国で使用する翻訳文書に認証が必要な場合に、すでに翻訳された文書に対して、当会の名で認証を行います。
5)司法通訳技能・倫理に関する研究
当会では、「司法の場において望まれる通訳人とはどのようなものか」ということをテーマとして、司法関係者との協働により、通訳技能、通訳倫理に関する研究を進めていきたいと考えています。
6)司法通訳士資格の創設
海外には、司法通訳に関する国家資格制度をもつ国もあります。その職務の重要性に鑑みれば、それは本来のあるべき姿と言えるでしょう。そして、このような制度が実現されて、はじめて、司法通訳人の技能と地位の向上は、ともに実現されることでしょう。当会は、このような認識の下、「司法通訳士」という国家資格の創設を推進します。
そこで、当会は、2019年に10周年を迎えたことを節目とし、新たな一歩を踏み出すこととしました。当会がその名称に用いている「司法通訳士」という資格を、昨年、誕生させることといたしました。
7)司法通訳研修セミナー等の開催
当会は、司法通訳人の技能の向上を目的として、現に司法通訳に携わっている人やこれから司法通訳を始めたいと思っている人を対象に、定期的に研修会を開催しています。研修の内容は、弁護士やベテラン司法通訳人によるセミナーのほか、法廷傍聴、模擬接見通訳など、さまざまです。
8)司法通訳人の地位向上に関する活動
当会は、司法通訳人が、その職務の重要性に相応しい待遇を受けることができるようになるための各種の活動を展開します。特に、法廷通訳のように公的機関から配点される業務については、希望する司法通訳人に対して、意欲と能力に応じて公平に仕事が配転され、専門職としての技能に応じた対価が支給される環境が整備されるよう活動してゆきます。